商店会員インタビュー vol.3「にちりん」

 今回、お話を伺ったのは、創業から60年以上の歴史を持つ老舗和菓子店「にちりん」。

 後継者の不在などを理由に惜しまれながら一時その歴史に幕を下ろしましたが、NPO法人「ピーシーズ」の井上俊一代表が事業継承を願い出たことにより2018年に復活しました。

-元々はこちらのお店の常連さんだったと伺いました。

 ここの近所でNPO法人を運営していますが、施設の人たちのおやつをよく買いに来ていました。
 閉店を知った時は「このお店は絶対になくなってはいけません」と必死でお話ししました。
 買物公園のシンボルのようなお店ですからね。それで私が引き継がせていただくことになって、職人さんたちをお呼びして戻ってきていただきました。

−職人さんたちは先代のままなのですね。

 そうです。

 さらに、私は障害ある方の就労支援を行なっていますので、そちらの利用者さんにシールを貼るなどの仕事をしてもらったりもしています。


−遠方の方へは配達も始められたとのことですね。

 ご高齢で身体を思うように動かすことが困難な方や、運転免許を返納された方々へお届けしています。

 この街を築き上げてくださった先輩たちですから、できる限りの恩返しをしたいんです。

 街中へ来ることが難しくなっても、このお店のお菓子を楽しんでいただければと。

 今ではご近所同士で希望を取りまとめてまとめて、お一人のお宅に届けると、後は皆さんで配ったりそのお宅に取りにきたりされている方々もいます。

−三和・緑道商店会についてお聞かせいただけますか?

 この商店会はとてもユニークで、一軒ずつそれぞれの色があります。
 ここへ来てくれた皆さんに楽しんでもらいたいという気持ちが溢れていますし、文化の発信も素晴らしい。

 商店会でイベントが催される際には参加しています。餅つきは我々の出番ですからね。

 三和・緑道商店会は、“生きてる商店会”だと感じています。

[インタビュアーからひとこと]

 全く違う分野から事業を継承され、創業以来の味を守りつつも新たな取り組みを取り入れる井上さん。

 お話の受け答えやインタビュー中に来店されたお客様との会話から、井上さんのお人柄の良さやこのお店が長年愛されていることを感じました。

 変わらず守り続けることとナチュラルに前向きに変化すること。

 三和・緑道商店会の魅力をそのまま体現するにちりんは、この商店会のシンボルのような存在なのではないでしょうか。

インタビュー後に購入した大福は、甘いものが少し苦手な私にも嬉しい柔らかな甘さと素材の風味がぎゅっと詰まった味でとっても幸せな気持ちになりました。


インタビュアー 木村萩野

洞爺湖町出身。大学卒業後、ホテルや旅行会社で旅行・観光業に従事しつつ、ワーキングホリデーで3ヶ国に滞在。現在は地域おこし協力隊として旭川市の移住促進や中心市街地活性化を進める。旅とキャンプと食べ飲み歩きが好き。


■このインタビュー記事は、三和・緑道商店会と旭川市地域おこし協力隊が共同で制作しております。 

三和・緑道商店会

北海道旭川市7条緑道を中心とする三和・緑道商店会は、ここで生きる「人」のくらしを第一に考え、「まちと人」「人と人」「自然と人」をつなぐことを目的として活動しています。

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